久しぶりにヨーロッパのチョコレビューです。
そうですね、直近のヨーロッパチョコはチェコ共和国カーラレビューだったと思いますね。
⇒【カーラ】フィノデアロマのダークチョコで大人の味を堪能する!
この後にエスコヤマのモンスターカカオ怒涛の8連発レビューが控えていたので、すっかり欧州チョコレートの味を忘れておりました。チョコ菓子発祥の本場だというのに失礼な話です。
今日はそんなヨーロッパチョコ菓子界の中でもハイレベルな部類に入る精密チョコレート製造国家「スイス国」のチョコレートを取り上げたいと思います。
カーギとは?
もうすでにブログタイトルでレビューの内容が半分くらいネタバレになっておるわけですが、このチョコがめちゃくちゃ口どけがよくて美味しかったということだけは、初めから宣言しておきたいと思います。
そうです。
スイスのチョコはリンツに代表されるように、その口どけさ加減というか、甘さが非常に蕩けるようで美味さ加減が半端ないのです。
これがドイツのチョコだと、このブログでもかつてリッタースポーツで取り上げましたが、甘いは甘いけど、ちょっと荒々しいというか、甘さがストレートに「甘い!」という感じでして、そうですね、もう少し分かりやすく言うと、日曜日に親父が作るカレーライスといえばよいでしょうか。
逆にスイスのチョコやフランスのチョコは甘さの中にコツがあるといいますか、上品な香りとか繊細な風味を大切にしてコトコトと根気よく煮詰めたお母さんの秘密レシピシチューみたいな感じといえば比較しやすい喩えになるのではないかと。
今日のチョコのメーカーはカーギといって、スイス語の綴りでは「Kägi」となります。aの上についている横並びの「・・」はドイツ語に特有の表記で、アルファベットの発音を口を開いて横に伸ばすような響きになっています。
つまり正式には「カーギ」ではなくて、「ケーギ」というほうが正しい発音になるようですね。でもわかりにくいので、ここでは「カーギ」で統一しておこうと思います。
スイスの国旗と同じで、赤と白のカラーコンビネーションが目を惹きます。
カーギは1934年に会社創立以来、変わらぬ味と伝統でチョコレートを製造している模様。
この「変わらぬ」というのは、日本の老舗でもよくつかわれるフレーズです。
特にヨーロッパは文字通りに「変わらぬ」ことが多くて、これもかの地域が自分たちの文化とか伝統を心の底から誇りに思って大切にしてきたという表れではないのかと思いますね。(災害が少なく、地層の地盤が固いというヨーロッパ大陸の風土も、伝統を長続きさせていく文化習慣に大いに関係しているのかもしれません)
カーギ実食レビュー!
では今回のチョコレートをご紹介します。
カーギのミルクバーの登場です。
白地に赤のシンプルなパッケージ。
会社のホームページカラーと同じデザインですね。
最初に裏面を見たときにアラビア語が一面に載っているような印象があって、「えっ?これはひょっとしてアラブのチョコバーか?」と思わず見返しましたが、ちゃんと右の原材料表記の下に「スイス」と書かれてありました。たぶんアラブ地域にも人気がある商品なのでしょう。
ちょっくら拝見。
カカオ色の褐色バーの出現です。
全身を引っぺがしてみました。
写真で見ると長いように見えますが、実際は手の平サイズです。もっとも男性の手の平の大きさくらいですから、平均的な女性だと、長さが少し余るくらいのサイズかもしれません。
もう少し近くで眺めてみます。
以外に割れが多い。ずいぶん温かくなったとはいえ、まだまだ朝晩は冷え込むので、チョコ肌が乾燥して荒れてるのでしょうか。もしそうならスキンクリームを塗ってやろうかと手元に取り寄せましたが、そのまま口に入れると口の中がツルツルピカピカになりそうな気がしたのでやっぱりやめました。
ここで少し香りについて述べますと、パッケージを開けてチョコバーを匂ったときに感じたのは、「ココアと軽い油脂の香り」でした。正直、ちょっとくどそうかな、と感じましたが、実際に口の中に入れてみないと勝負の行方は分かりません。
食べる前に、まずは半分にポキリと。
中身はウェハースになっていて、一見したところ、軽い食感のイメージ。値段が値段だけに(一ケ120円前後です)そんなもんかなと思いましたが、これもやっぱり勝負は口の中に入れてから。
生半可な印象でチョコの実力を測ってはあとで痛い目に合うことを、これまでの長い実食人生で痛いほど味合わされてきたということを絶対に忘れてはいけません。
慎重を期すため、割ったチョコバーの中身をさらにじっくりと眺めてみました。食べるだけでなく、対象物を観察するのも実食勝負では重要です。
こういうことをすると「たかだかチョコレート食べるだけなのに、そんなのいちいち大げさすぎるよ」と言われる方もおられますが、私からすれば
Keep your mouth shut and watch! (黙って見てらっしゃい!)
と一喝するレベルです。
真剣にチョコ実食に臨んでるものに無駄な行為など一切ありません。見て、開けて、割って、語って、感じて、最後に口に入れる。
この過程全てが「実食」という儀式に必要な動作であって、どれ一つ欠かしても、決して製作者の意図にたどり着けない「永遠のロード~道」であるのです。
ですので、いつもしつこいくらいに、この過程を潜り抜けて実食に挑んでいるのです。
長くなりました。ではそろそろ口の中に入れてみましょう。
ガジリ
「・・・・」
一瞬、静まり返った部屋の中で、ただ実食家の吐息だけが響いていた。
「ハァッ、ハァッ」
口の中に広がった食感。
それは食べる前に観察したウェハース生地の軽さとはかけ離れた重みのある味わい。
それも口の中でしみ込んで溶けていくような口どけ感というのだろうか。
「どうやらこいつは掘り出しもの のようだな」
目を閉じてガジリガジリと噛みしめながら、実食家はミルクバーの豊穣な味にうっとりとしていた。
(小さいがボリュームのある口ごたえ・・・噛んだ時にすんなりと歯に当たって溶けていくような柔らかな味わい・・・たったこれだけの小さいサイズの中で、食べるものの心を幸福感に満ち溢れさせてくれるチョコバーなど・・・)
ギュッと空のパッケージを握りしめた。
「寡聞ながら俺は味わったことがない」
ようやく口を開けて目も開けた。その瞳には喜びの光がコスモ(小宇宙)のように爆発して見えた。
「しっかりとココアバターをしみ込ませたウェアハースに、その周囲をEU内で採れた安全で豊穣なミルクで仕上げたスイスチョコでコーティングし、なおかつ粉砕したヘーゼルナッツで香りを彩る職人技」
そしてもちろん、と目を光らせながら、ごくりとチョコを飲み込んだ。
「最後に私自身がチョコ肌に塗り込んだモイスチャークリーム。これがコクの決め手だったというのは、ほぼほぼ間違いないだろう」
テーブルの上に置いた熊本県産の「馬油クリーム」が光って見えた。
今は震災で大変だろうが、きっと立ち直ってくれるに違いない。そしてそのときこそ、この馬油クリームを大量注文させてもらおう。そしてこのチョコバーを食べるたびにチョコ肌の荒れを癒してやるのさ・・・そうつぶやきながら、実食家は口の中に広がるオイリーなミルクチョコの風味を遠い目で味わっていくのだった・・・(終)
まとめ
最後はいつもの小説風レビューになってしまいましたが(笑)、とりもなおさずカーギは美味しかったです。
なんといっても、口どけ感が素晴らしかったですね。
何よりチョコとミルクのくどくない、リッチな甘さが幸福感をいや増しに増させてくれたというか。
食べていて「うまいな~」と目をうっとりさせてくれるチョコはそうはなく、それがこの小さなチョコバーで可能になるなんて、さすがは小さな巨人スイスの偉大さです。
小さいけど精密、そして繊細。まさにスイスの時計のようなお国柄をぎゅっと凝縮したようなチョコバー。
これはもうリアルにお薦めです。