やってくれましたNHKプロフェッショナル。
ショコラティエ、三枝俊介氏の登場です。
プロフェッショナル 仕事の流儀 情熱が、道を拓く ショコラティエ 三枝俊介
毎週、各界の著名人を主役に据えて、そのプロフェッショナルな腕前と人生の姿勢を密着取材で描きつくす「怒涛の45分間」。
昔から好きでほぼ欠かさず見ている番組ですが、今回はチョコレート実食家として見られずにはおられない、チョコレート界の大御所のドキュメンタリー番組となっていました。
チョコレート作りに強いこだわりを持つ、三枝氏ならではの静かなる闘志を秘めた映像の数々。
from: ショコラティエ パレ ド オール/アルチザン パレ ド オール
カカオの選定から焙煎、チョコレートの製造まで極限までこだわりぬくその姿勢は、番組の最初から最後まで目が離せませんでしたね。
まさにチョコの化身。
まさに男前ショコラティエの総帥!!
とまあ、勝手に熱くなってしまったところで(笑)、番組の流れに沿ってレビューしていくことにしましょうか!
カカオ豆を一から作る「Bean to bar(ビーントゥバー)」
三枝氏の一番の特徴は、カカオ豆からチョコレートを作り上げる「こだわりの姿勢」。
「味の着地点を見定め、食の安全性にも留意した”チョコレートのプロによるショコラ作り”が行われていない現状を感じ、このプロジェクトをスタートした」(公式サイト)という三枝氏は、世界各国を自分の足で巡り、納得のいくカカオ豆を選び抜くところから始まります。
from: ショコラティエ パレドオール INFO (@staffpaletdor) | Twitter
番組ではカカオ豆の焙煎の様子を映しだし、じっと焙煎される豆を見つめ、出来上がった豆を取り出して味を試す氏の真摯な姿に肉薄していました。
こうした氏のことですから、周りの若いスタッフにも厳しい目配りと態度で挑んでいるのかと思いきや、意外に終始穏やかな表情と物言いで、彼らに指示やアドバイスを出していたのは驚きでしたね。
番組だからそうしているのかと一瞬思いましたが、スタッフのふとした表情や、働き方を見ていると、与えられた仕事に対する緊張感こそあれ、厳しいボスの前で委縮しているという態度は感じられず、むしろチョコ作りを楽しんでいるような雰囲気に「ああ、彼らは本当にチョコレートが好きで、その究極の味を三枝氏とともに追求しているだな」と直感できました(あくまで私の感覚です)
from:ショコラティエ パレドオール INFO (@staffpaletdor) | Twitter
三枝氏がビーン・トゥ・バーを手掛けるショップ兼工房の「アルチザン パレドオール」は八ヶ岳のふもと、山梨県清里高原にあります。
そこで主にカカオの加工を手掛けるのですが、氏の生まれ故郷である大阪にも一件、工房があり、山梨の工房から持ち寄ったカカオ豆で様々なチョコレートに加工していました。
今年(2018年)に取り組む夏の新作がすでに取り掛かられていて、パイナップルやスイカ、ライムそして麦茶が素材の一つしてクローズアップされていました。
夏と結び付いているもの
お客さんに郷愁に呼び掛ける
この二つを目的としたチョコレートの素材として、先ほどの中から三枝氏が特に注目したのが「麦茶」です。
確かに麦茶は日本の夏の象徴。
これまで抹茶やコーヒー、紅茶はチョコレートの素材として様々なメーカーが販売していますが、麦茶はあまり見たことがありません。
それもそのはず、カカオと同じく香ばしさを魅力にもった麦茶だけは、その味付けの風味が難しく、経験豊かな三枝氏といえども、何度作っても麦茶の風味がチョコレートに負けしまっていました。
そこで氏は、麦茶と合わせる自家製チョコレートの産地変えることにしたのです。
それが「キューバのビター」。
これで難問は解決するのだと、番組の流れ的に思っていたのですが・・・
結局これもとん挫しました。(なんじゃそりゃ!と思いました笑)
しかし氏は挫けません。
「いまできる最大限の努力をする」
それが三枝氏の流儀。
結果が残らなくても次につなげる。
まさに可能性の鬼です。
氏は知り合いの茶師に会い、アドバイスを受けます。
カカオと同じで、麦茶も「焙煎の仕方」を替えれば、味も変わる・・・
こうしてついに氏は理想の麦茶チョコを完成させたのでした。
自家製チョコレートにこだわる原点とは?
三枝氏のチョコレートの品質にかける情熱は本物です。
番組は違えど、情熱大陸に出演しても良いと思うほどの「チョコ魂」をその視線の先に感じました。
ではなぜ氏がそこまでチョコの質にこだわるのか?
それは氏が歩んできたこれまでの経歴にあったのです。
三枝氏は1956年、大阪府に生まれます。
お父さんが早く亡くなったため、お姉さんとお兄さんが働き、幼い三枝氏が大学にまで通うことができたといいます。(番組の後半で、定年退職されたお兄様とお姉様のために祝いの席を開き、三枝氏が涙ながらに長年の感謝の想いを伝えられていました)
しかし美大を出るも、就職の壁にぶつかり挫折。
しかし食べていくため、兄や姉に迷惑をかけないために、自分の腕ですぐに食べていけるケーキ職人の道を進むことを決めました。
最初に働いたのが、大阪の名門ホテル「プラザホテル」で、厳しい洋菓子造りで有名だった故・安井寿一氏の元。
昔ながらの言葉少ない厳しい修行の日々が続き、何度もくじけそうになりますが、三枝氏は歯を食いしばって耐えました。
その労苦が実って、1991年についに自分の店を持つことになります。
そして厳しい師匠の元で培った技術と腕前が花開き、瞬く間に有名店に。
数年後には数店舗を抱えるまでに成長しました。
さらに腕を磨くためにフランスに修行にいき、そこで働いたフランス・リヨンのチョコレートの老舗ブランド「ベルナシオン」で、チョコレート造りのノウハウを学び、多くのことを吸収したのでした。
カカオ豆から丁寧に作るチョコレート、深い香り、食べると余韻が残る美味しさ・・・
氏は衝撃を受け、帰国後もベルナシオンのようなチョコレートを作りたいと考えますが、複数店舗を持つために、そこまでの手間暇をかける余裕を持てませんでした。
そこで8店舗あった店を全部閉め、追い求めるチョコレートのために一職
「チョコレートを食べて「この味」というのは、フランスの
三枝氏のチョコレートを目指す大きな目的となったのでした。
最良のカカオ豆を目指して
新たなるチョコレートの旅路を始めた三枝氏のミッションは、
「良きカカオ豆を探すこと」
これが自分のチョコレート!という世界に二つとない独自のものを作り出すには、その元となるカカオ豆の選定が最も重要になってきます。
そのため三枝氏はより良いカカオを求めて世界各国を飛び回るのですが、番組が立ち会ったのはカリブ海の国トリニダード・トバゴでした。
西インド諸島で唯一石油と天然ガスが産出し、同国の主力産業になっていますが、他にも柑橘類やココアなどの農産物もあり、特にカカオ豆が有名です。
そんなトリニダード・トバゴには良質のカカオ農園が多くあり、中でも三枝氏が気に入ったのは、古い品種を作っている農園でした。
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量より品質がモットーの農園主のもと、品種も昔のものを使用し、収穫したカカオ豆の加工作業 伝統的な手法で「全工程を手を抜かずにやる」という姿勢。
これはまさに三枝さんのモットー「今やれることを最大限やる」と同じでした。
この農園のカカオを使えば、きっと自分たちの追い求めるチョコレートが完成する。
そう感じたのでしょうか、三枝氏は早速、帰国後にそのカカオの個性をストレートにだすため「焙煎を浅め」にした工法で作業を始めます。
焙煎の結果、良いものができたと判断した氏は、さらなる挑戦に挑みます。
それは「強く焼いて濃いめに作った深煎りのカカオ豆」を「浅煎りのカカオ豆」の中に
1つか2つ入れて
「味にアクセントをつける」
というものでした。
その結果、甘いキャラメリゼな香りを生み出すことに成功。
氏もスタッフも大満足な出来上がりになりました。
from: ショコラティエ パレドオール INFO (@staffpaletdor) | Twitter
そして試作品完成。
試食した人たちにも好評で「1割、深煎りを足したものが美味しい」という感想が述べられていました。
こうしてついに三枝氏が求める「誰もが真似できない”自分たちだけのオリジナルチョコレート”」が出来上がったのです。
まとめ
「誰が食べても、すぐにそのショップやブランドを想像できるチョコレートは「ベルナシオン」しかない」と断言した三枝氏。
from: ショコラティエ パレドオール INFO (@staffpaletdor) | Twitter
若き頃に修行したベルナシオンの「オリジナリティ」を自分のブランドでも確立したい。
その想いで駆け抜けてきた三枝氏が、ついに辿り着いた境地。
それが今回のプロフェッショナルのドキュメントに込められていたように思います。
「プロフェッショナルとは、捨て去ることで前に進むことができる人だと思います」
これまで様々な困難と挫折、成功の果てに、新たな道を模索する氏のチャレンジング魂が込められた言葉。
ショコラティエという職業の壁を越えて、私たちにも訴えかけてくる力強さがあるように感じました。
この考え方は、ぜひとも自分の生き方にも取り入れたいですね。
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